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介護の知識

病気の知識

疥癬

どんな病気

ヒトヒゼンダニが皮膚の角層部分に寄生して発症します。STD(性感染症)の一種で直接感染として性交で感染しますが、間接感染として寝具などでも感染します。つまり垢の中に寄生するので垢を介して感染します。
近年、老人病院などでは時々見られ、院内感染して問題になることがあります。若いひとにも見られないわけではなく、老人の介護をしている人やひいてはその家族にも感染します。

交尾したヒゼンダニのメスは角層内にトンネルを作り、10〜25個の卵を産み、4〜5週で死にます。オスは皮膚表面を移動し、角層上で死にます。卵は3、4日でふ化し、14〜17日で成虫となります。

どんな症状

激しい痒みを伴い、外陰部、腋窩、指間、趾間、臍周囲、躯幹などに白っぽい〜赤い米粒の半分くらいの大きさのぽつぽつ(丘疹)や結節(丘疹より少し大きいもの)が多発してみられます。
趾間などではかさぶた(痂皮)、水疱(水膨れ)を呈することもあり、一見水虫のようにも見られます。

時に、線状に数mm〜3mmの発疹が見られることがあり、ヒトヒゼンダニが移動したもので“疥癬トンネル”とよばれ、その先端には虫体が潜んでいます。また、痒みのために掻破することも多く、体に掻き傷がみられます。
老人にみられることが多いため、乾燥肌の状態が混在したり、掻破のために湿疹化して“皮脂欠乏性湿疹”と鑑別が問題になりますが、検査をして虫体を発見すれば診断は容易です。通常頭部、顔面には生じません。

“ノルウェー疥癬”という疥癬の重症型では、カキの殻のように厚く積み重なったかさかさのかさぶたが手足・臀部などにみられ、全身の皮膚は赤くなります。爪は白く濁って厚くなります。

どんな診断・検査

ハサミや鑷子を使って丘疹上の角質や痂皮をいくつか採り、顕微鏡で観察します。虫体や虫卵を発見すれば確定診断となります。

どんな治療法

殺虫効果のあるイオウ、安息香酸ベンジル、γーBHC、クロタミトン軟膏などの塗り薬を使います。
γーBHCは低いですが毒性があるためあまり長期には使えず、院内製剤となっており薬局では買えません。
外国では、イベルメクチンという内服薬を1回投与することで効果があるとの文献報告もあります。

どんな予防法

ヒゼンダニは50度10分で死ぬため、熱湯消毒が効果があります。シーツや衣類は頻回に交換し、熱湯消毒を行います。部屋は電気掃除機で丁寧に掃除して垢を吸引、除去します。

ノルウェー疥癬にかかったひとの部屋は、有機リン系の殺虫剤を散布する必要があります。
また、疥癬にかかった人全員が同時に治療することが大切です。

ダニに効果的な熱湯消毒
主な治療薬

イオウ、安息香酸ベンジル、γ-BHC、クロタミトン軟膏など。

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