訪問看護の基礎知識
インシデントノート
インシデントとは、(ヒヤリ)や(ハット)事例を含むできごとの事で、アクシデント(事故)を未然に防ぐために適切に対応する必要があります。
事例1
- 具体的な内容
- 患者は気管切開を受け昼間は酸素マスク・夜間は人工呼吸器を装着していた。
気管吸引は患者からの要請や喘鳴音・気切口への痰の吹き出し量を確認しながら適宜行っていた。
- 発生した要因
- 夜間担当看護師は朝方5時に最終吸引を実施し6時業務を終了して利用者宅を辞した。家族が吸引を施行しようとして吸引できないことに気づき確認すると吸引器の排液ボトルが満杯であった。直ちに排液ボトルを空にして吸引を実施。担当看護師は業務終了時吸引器の排液ボトル内容量を確認していなかった。
- 実施した、または
考えられる改善案
- 使用していた人工呼吸器の作動状況チェック表に吸引器の作動に関するチェック項目
(以下3点)を追加
①吸引器の作動状況
②排液ボトルの内容量を勤務前後で確認
③勤務終了時、排液は量に関わらず廃棄した後吸引器の作動を確認
以後は新たなチェック表に基づき看護をおこなった。
事例2
- 具体的な内容
- CVポートから中心静脈栄養を投与中、6時に夜勤看護師が当日使用分のパックに更新。9時勤務交代時に日勤看護師小窓2か所のうち1か所が開通されていないことを発見した。
- 発生した要因
- 夜勤看護師は6時の点滴更新に合わせて30分前に新しい栄養パックを開封、上下室と小窓2か所を開通させたつもりが、1か所開通できていなかった。
- 実施した、または
考えられる改善案
- 点滴更新・投与開始時の基本を徹底、指差し確認をする。夜間の作業は手元、視界の確保に留意する。
事例3
- 具体的な内容
- 患者が1日3回内服する薬は内服カレンダーにて管理していた。夜勤看護師が朝食後の内服を準備する際、不足に気づき探したところ、翌日の朝食後に重複してセットされていた。
- 発生した要因
- 1週間分の内服を日曜日の日勤看護師が準備、内服を実施する際は当日担当看護師がセットされた内服薬と処方箋を確認している。セットを担当する看護師が間違えてしまったのか、正しくセットしたものが何らかの原因で誤った日に紛れてしまったのか、明らかな原因は特定できなかった。
- 実施した、または
考えられる改善案
- 各日担当看護師が内服実施前の薬剤と処方箋を確認することは継続する。1週間分のセットは日勤看護師、安全対策のためダブルチェックを夜勤看護師が行うこととした。
事例4
- 具体的な内容
- シリンジポンプを利用して持続点滴中。薬液交換時、三方活栓をフリーにしてシリンジ内のエア抜きを実施、エアーと一緒に薬液50cc中8ccをシーツに放出。発生後すぐに報告しなかった。
- 発生した要因
- 薬液交換30分後に別の看護師がシリンジ内残量が少ないことに気付き、担当看護師に確認。エアー抜きの際にこぼしたこと、シールが濡れている事を確認。初めての訪問のため報告を躊躇してしまった。
- 実施した、または
考えられる改善案
- 発生事例に応じ、主治医、管理者、ご家族への報告を徹底する。